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そんなある日、異端な者がその国の最果てに現れたのです。
その異端な者は小さな少女でしたが、頭や下半身には普通の人間についている筈の無い猫の耳や尻尾がついていたのでした。
人々はその少女の出で立ちから少女を「猫子」と呼び、異端な者として恐れ、避けました。
しかし猫子はそれでも無邪気に笑顔を絶やすことなく、人間と接したいと願って毎日街に現れていました。
しかし人間とは酷いものです。
猫子が街へやって来ると外に出ていた人々でさえも家に入ってしまい、家の鍵まで閉めて家へ隠れ、誰一人として街に姿を見せずに猫子が帰るのを待ったのでした。
そんな事が続くとやがて猫子は街に姿を現さなくなりました。
街には元の平和が戻ったのです。
しかし街の様子がどうも前とは違っておかしいのです…。
それは他の街や村から客や旅人などが全く来なくなった事。
人々は何故だろうと悩みました。しかし、原因はすぐに分かりました。
…猫子です。
猫子はこの街の奥にある森の中で小屋を見つけ、その小屋に住み着いたのだそうです。
それを他の街の者がこの街の人々より先に聞きつけ、危険だと言って立ち寄る事を避けているのだそうです。
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