街人

4/4
前へ
/42ページ
次へ
そうなってしまうと街は段々とさびれていきました。   街の人々はより一層猫子を嫌いました。「どうして私達の街に現れるのか」と、猫子を恨みました。 しかし猫子はそんな事など気づくはずがありません。 毎日毎日街へやってくるのです。   そうしている内にある者は考えつきました。 子供達と遊びたがっているなら、子供と遊ばせれば良いと。   しかしその考えは決して純粋なものではありませんでした…。 次の日になると、ある者はある子供の家を訪れ、子供に言いました。   「あの子と2人で隠れんぼをして遊んでやりなさい。そうすればこんなに沢山のお菓子を君に上げるよ?唯一緒に遊ぶだけだ。」   大人は子供をお菓子で釣ったのです。   勿論沢山のお菓子を見た子供は大喜びで「それくらい良いよ。」と答えました。 嬉しそうにする子供。   実はこの子供には親がいませんでした…。 だから普段、こんなに沢山のお菓子を貰う事はおろか、親がいない事をバカにされ、他人と遊ぶ事もなかったのです。   子供は幸せを感じながら猫子を待ちました。そして今日も猫子はやって来たのです。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加