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「ねぇ、遊ぶ相手を探していつも此処に来るんでしょ?」
いつもの広場で、子供は猫子に話し掛けました。
しかし、猫子は不思議そうに子供を見るだけで何も反応しません。
「一緒に遊ぼ?」
子供はニッコリと笑って言いました。
すると猫子もニッコリと笑いました。
その顔はとても愛らしく、猫の耳と尻尾が無ければ恐れられる事などない、とても可愛い女の子です。
「…遊ぶって、あれの事?」
猫子は子供に向かって言いました。
【あれ】とは広場で鬼ごっこをしている子供達の事です。
「うん!あ、でもあれは鬼ごっこって言うんだ。僕達がするのは隠れんぼだよ」
そう言いながら子供は猫子の手を握り、その場を動こうとしました。
しかし猫子はまた不思議そうな顔で子供を見ているのです。
そして何も言わず、広場と子供を交互に見ていました。
それの意味はすぐ悟れました。
「…此処で遊びたいの?」
子供がそう訊くと猫子は「うん!!」と言って、また笑いました。
しかしそれは出来ません…。
子供は大人から森で遊ぶ様に言われているのでした。
結局広場では遊ばず、猫子を説得して、2人は森へ向かう事にしました。
森へは直ぐには着きません。
2人は色々な話をしながら森へと歩いて行きました。
色々な話をするにつれて2人は笑顔が絶えなくなり、いつの間にやら2人は友達となったのです。
しかし猫子は言葉を一つ一つ話すのに必死な様子です。
人と接した事が無い猫子は、まともに言葉を知らなかったのです。
そんな様子がおかしいのか、子供はずっとクスクスと笑うのでした。
「なぁに?」
猫子は一言そう訊きました。
「何でも無いよ。あ、着いたみたいだ…。早速始めようか!」
子供はごまかす様にそう言いました。
猫子も嬉しそうに頷き、最初の鬼を決めるジャンケンをしたのです。
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