猫子

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しかしここでとんだ計算違いが起こりました。   小屋を見張る為に大人が隠れた草むらは、小屋からだいぶ離れているのです。 その為、その場所から人を見分けるのは困難でした。 そして大人は悩みました。   その結果がこれです。   逃がしてしまってはせっかくの計画が台無しになってしまう…。 そう思った大人は、中に入っているのが子供であろうと猫子であろうと、構わず焼いてしまおうとしたのです。   結果、中に入って危険が迫ったのは子供でした。   子供は中から大声で助けを求めました。しかし扉は既に火に覆われ、出る事も助けに入る事も出来ません。   大人はその声に気づきました。 その声の主が猫子ではなく、子供である事もその時点で気づいていました。 しかし大人は助け様とはしません。   自分のした事と、助けに行ったとしても自分が助かる見込みの無い恐怖から、大人はその場を動けないでいたのです。   …しかしこれも頭の片隅にあったトラブルでした。   親がいなく嫌われていた子供が一人いなくなったとして、誰が悲しむのでしょうか…? 誰が子供が亡くなった事をその大人に責めるのでしょうか…?   残念な事に、そうする人物は誰もいないのでした。だから大人はこの子を選んだのです。   「…助け、行かないの?」 大人の後ろからその声は聞こえました。驚いて振り返る大人…。   そこにいたのは猫子でした。 大人は驚きと恐怖から何もすることが出来ないでいます。   「ねぇ…、早くしない「うぁああー!!化け物ぉーっ!!」   猫子が言い終える前に大人は叫び、逃げ出してしまいました。 一人残された猫子、やる事は一つです。   猫子は颯爽と小屋に駆けて行き、燃え盛る扉をものともせず入って行ったのです。 猫子のその姿を見つけた子供は安心したのか、ニッコリ笑いました。 きっとこの状況に陥り、猫子が助けに来てくれる事を予想していたのでしょう…。   「掴まって、早く出ないと…」   猫子は子供に手を伸ばし、子供はその手を取り、2人で小屋を脱出しました。 その後小屋は全焼し、崩れ、もう一歩助けに入るのが遅ければ子供は本当に死んでいたでしょう…。   子供を殺そうとした悪は大人。 子供を助けた善は猫子…。 これが本当の真実の筈なのに、この後、とんでもない悲劇を招くのでした。
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