目覚め

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「…ん…」 少年は静かに目を開けた。 強烈な光に一瞬目が眩んだが、すぐに慣れ、光の正体が蛍光灯から発せられていた物だと知る。 「…」 ゆっくりと身を起こし、辺りを見回す。 自分が寝かされていたベッド以外に家具は無い。 代わりに、機械の残骸や工具やらが無造作に散らばっていた。 そして、その中に一人の人間がガラクタに埋もれる様にして横たわっていた。 少年はベッドから抜け出し、人間に近づいた。 かがんで、そっと頬を撫でてみる。 顔付きからして男だと分かったが、その頬は痩せこけ、何よりも残酷な程冷たい。 「…死んでいるのですか?」 呟く様な少年の声は、狭い部屋に虚しく響いた。 少年は十字を切り、再び立ち上がる。 「…僕は何をすれば…?」 誰にでもなく少年が問いたその時。 ─キィン…
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