二十四章:月平蘭子(21歳)の場合

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高校を卒業して三年が過ぎた。 大学での専攻は教職方面のものも含み、数学の知識だけではなく教職として必要な勉強にも力を注いだ。 大学での勉強は高校の頃よりも遥かに難しかったけれど、私はもう恭一兄さんを頼るのをやめた。 恭一兄さんは去年大学を卒業し、地元の証券会社へと就職した。 就職を機に家を出て、今は会社の近くにアパートを借りて一人暮らしをしている。 家から車で三十分ほど離れた恭一兄さんの部屋へ私はよく遊びに行った。 唯子ちゃんを誘うことはもうない。 唯子ちゃんは同じ大学の英文学部へ進み、卒業後はイギリスの大学へ編入して更にあと数年学生生活を送ることが既に決まっている。
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