好き、までの距離。［想い］

二十四章:月平蘭子(21歳)の場合

いつだったか、唯子ちゃんが言ったことがあった。

自分の世界は、とても小さいのだと。

小さいことに囚われて、動けなくなってしまっている、と。

ここから抜け出すために、自分の見たことのない世界へ行きたい、と。

そのために自分の知らない国へ行って生活をしてみたい、と。

唯子ちゃんは言った。