二十四章:月平蘭子(21歳)の場合

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私はずっと唯子ちゃんのその強さに惹かれて、憧れていた。 けれど、今は違う。 将来の目標を見つけ、大学へ進学してからは、もう誰かに憧れることをやめた。 結局、人は他人にはなれない。 私は唯子ちゃんにはなれない。 恭一兄さんにも。 そのことがようやく分かった。 自分と向き合っていられるように、前を向いていられるように、いつも顔を上げて歩いた。 唯子ちゃんと対等に付き合って行くことの方が、ずっと自分には大切で必要なことだと分かったから。 恭一兄さんの後ろを追いかけることよりも、その道を自分自身で選んで決めることの方が、ずっと自分にとって価値のあることだと分かったから。
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