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帰り道、バス停でバスを待っていた。
あー、なんかもう道路に飛び出ちゃだめかな。
んー、この早さじゃ死ねないかなぁ。
てか迷惑だろうしなぁ……。
そんな取り留めのない後ろ向きなことを考えていたら、見知らぬ母子がバス停にやって来た。
「今一個前だよ、もうすぐでパパ来るねぇ」
「パパ、パパぁ」
長めの髪をおさげにした女性が、まだ歩けるようになったばかりの子供に微笑みながらそう言った。子供は無邪気に笑って嬉しさを表した。
微笑ましい光景。
私は思わずその子供に微笑みかける。すると子供はそんな私に笑顔を返した。
バスが来ると予定通りそのパパとやらが降りてきた。
パパは子供を抱きしめママはそれを微笑んでみていた。
私は何故か涙が滲んだ。
それも、やはり予定通り。
私は当初乗ろうと予定していたバスの次のバスに乗り込んだ。
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