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Kさんは恐怖を紛らわそうとして出来るだけ楽しいTV番組を見るように努めました。おばあちゃんの部屋には恐くて近寄りもせず、食べさせなくてはいけない昼食もそのままにして放っておきました。さて両親は夕方には帰ると言い残して行きましたが、約束の時間になっても帰って来る気配がありません。時刻は夜9時を回り、やがて12時が過ぎ、いつも霊柩車がやって来る時間が刻一刻と迫ってきても、連絡の電話一本すらないありさまなのでした。
はたして、その日もクラクションは鳴りました。Kさんはそのとき1階にいたのですが、間近で見るのはあまりにも嫌だったので、いつもの通りに2階の窓から外を見下ろしました。ところがどうでしょう。いつもはひっそりとしていた車から、何人もの黒い服を着た人達が下りてきて、門を開けて入ってくるではありませんか。Kさんはすっかり恐ろしくなってしまいました。そのうちに階下でチャイムの鳴る音が聞こえました。しつこく鳴り続けています。
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