*Childhood friend*

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 美原裟弥は17歳の高校3年生で大人しめの性格である。医者の父と弁護士の母を持つが、二人は仕事上家にいることが少ない。  「…じゃあ、行ってきます」  裟弥は玄関に立って靴箱の上に飾ってある父と母と自分が写った写真にそういうと学校へ行くため、玄関の扉を開けると門の前に人影が見えた。  「おはよう!晃貴」  山下晃貴は美原家の隣に住む家の一人息子。裟弥にとってたったひとりの幼なじみである。  「やっときたか。遅刻したら裟弥、お前のせいだからな!」  晃貴と裟弥は今日日直で8時には学校に居なくてはいけない。現在の時間は8時10前。学校までかかる時間は走ったとしても13分、全力で走って時間通り着くか着かないかである。  「えへへ…。はっ走れば間に合うもん!!!」  裟弥は両手を胸の前で拳を作り、気合いを入れると学校に向けて走り出して晃貴もその後に続いて走った。  学校には時間ぎりぎりについて、二人は息を切らしながら教室に入った。  「まっ…間に…合ったぁ」  「…だな」  各自の机の上に鞄を乗せ、息を整えながら晃貴が教室の窓を開けて、空気の入れ換えをする。  「おっ!裟弥っ見てみろよ空!真っ青だぜぇ」  興奮気味な瞳で裟弥を呼び、空を指差してそういった。  「本当だぁ!雲一つないね。さっきは走ってたから空なんて目に入らなかったよ」  裟弥も教室の窓から空を見上げてから  「「今日はなんか良いことありそう」」  言ったのはほぼ同時だった。二人は顔を見合わせてどちらからともなく笑い出した。  「ハハッ…。さてと、日直の仕事しますか!」  晃貴は裟弥を見てニッと笑った。  …ドキン…  裟弥は晃貴の笑顔を見て鼓動が高鳴って、自分の顔が熱くなったがわかって。  「しっしますか!」  赤くなった顔を誤魔化すように笑って見せて、花がいけてある花瓶を持ち上げ水道のほうに走っていく。  「?」  晃貴は裟弥を目で追いながら首を傾げた。
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