これからも、ずっと

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「さて、じゃあ出掛けようか?」 「…………は?」  水城は、錐の行き成り過ぎる唐突な言葉にそう言うしかなかった。 「何処に?」 「秘密」  錐はいつもこんな感じだから慣れてはいる。 「碧い水を、見に行こう?」 「碧い水って……水は無色透明なモノだろ?」 「行って見れば解るから」  ――そして、電車に揺られて一時間半。  会話をしたり黙っていたりを繰り返していた水城と錐だが、頬杖を付いて外の景色を眺めていた水城が、不意に何かに気付いた様に付いていた頬杖を外して、顔を上げた。 「ん? どーしたの、水城」 「行き先って……海だったのか」 「うん、そうだよ。やっと気付いたー?」 「でも、何で」 「君が海を見た事ないって言うから、海の碧い水を見せてあげようと思って」 「錐……」 「もうそろそろ、見えて来るんじゃないかな?」  錐がそう言ったので外を見てみた水城は、 「すげぇ……」 と一言漏らすと、黙って海に見入っていた。  そして、次の駅で電車を降りた二人は、白い砂浜に降り立った。 「ね? 碧い水、でしょう?」 「あぁ……」  錐が問掛けると、水城は素直に頷いた。  それに満足した様に微笑み、錐は言葉を紡ぐ。 「君に、これが見せたかったんだ。この綺麗な海を」 「ありがとな、錐。すげぇ、綺麗だ……」  そう言った水城の横に、錐が座り込む。 「あのさー、水城」 「ん、何だ? 錐」 「これからもオレ達、ずっと親友だよね?」 「…………」  錐の言葉に、水城は目を見開き、驚いた表情をする。 「……水城……?」  返答がない事を不安に思ったのか、錐は水城の名を呼ぶ。 「そんなの、当たり前だろ。……俺達は一生、大親友だ」 「水城……」  錐は、先程の水城の様に目を大きく見開き、そして、微笑んで頷いた。 「うん!」  ――それから二人は、暫くの間何も言わず、並んで海を眺めていた。
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