5話

10/16
8010人が本棚に入れています
本棚に追加
/267ページ
「ほんでも、気持ちは伝わると思うで」 「うん…」 あの人が俺のこと好きだなんて思いもよらなかった。 疎ましい存在なんだと思っていたから… 「秋ちゃんありがとな」 そう言うと扉の閉まる音が聞こえた。 「雪君…聞いた?」 「…聞いてないっす」 「聞いてるやん!!」 起きあがるとカーテンを開け秋ちゃんが入ってくる。 「あちゃー…腫れてもうたな」 口元を撫でられる。 「…大丈夫」 「将君…ホンマは好きなんやて」 「…うん」 「どうなん?」 「何が?」 「将君のことどう思ってるん?」 …どうって言われてもすぐに答えは出せない。 やっぱり嫌いなんだけど… さっきの話を聞いたらどうしようもなくって… 「まー分からんか…それより、それ全部将君が?」 口元の痣に、キスマークに、噛み痕…。 「……えと…」 神崎さんのことは言っちゃいけない気がした。 そうしたらどう説明していいのか分からなくて黙っていたら秋ちゃんは消毒液などをトレイに乗せ持ってきた。
/267ページ

最初のコメントを投稿しよう!