回想

3/4
前へ
/6ページ
次へ
それは、中学に上がる頃だったか。 親が常時居ない状況の俺たちは、二人で毎日を過ごして居た。 妹は、あれで料理が得意で、俺は何をやっても不器用と、妹にいつも言われ、 お言葉に甘え、特に家事は手伝わなかった。 甲斐甲斐しく働くその小さな背中を見て、ただグータラしていただけ。 テレビを見てるとき、食事中や登校中、下校中。 いつも俺たちはいっしょで、他愛もない話に毎日夢中になった。 しかし、それに終止符を打ったのは、他でもない… この俺だ。 ふとした瞬間。 思春期の俺たちが、“そういうこと”に興味をもつのは、大して不思議では無いのだが… 最初は只の遊びだった… しかし、それが遊びを超えている事、禁忌を犯している事だと気付いた時には遅かった。 俺は実妹に“童貞”を捧げ… 妹は実兄に“処女”を捧げていた。 親が全く帰ってこず、少しずつ仕送りが増え、只、互いに肉体を求め合う毎日に変わっていった。 止める者は誰もいない。 それをいい事に俺たちは、さらに関係を深くする事を望んだ。 …叶わないと分かっていた。 でも、そのときの二人は異常だった。 “結婚をしなくても、子供は出来る” …今から思えば、馬鹿、否、屑野郎だと唾を吐くだろう。 しかし、そんな事を本気で言い合い、受け合う状況を、当時は普通と感じ、過ごしていた。 現実は、子供なんか出来なかった。 妹は、体が小さいからか、俺のせいなのか、“保険体育”で避妊について知るまで、コンドームはつけなかったが、初潮が来るのが遅かったので、当然、嫌な話“受精”しなかったのだ。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加