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初めて関係を結んで、一年後、遂に勘付かれ始めた。
町を歩けば、ひそひそと陰口を叩かれる。
感じたことのない緊張感が、二人を包んでいった。
そうなれば、学校、友達、次いで両親に情報が回るのは、至極当然だ。
「愛斗(まなと)来なさい。」
機械的に言われる。
まるで殺人犯になったかのように恨みの目で見られる俺。
咎められるなら、まだいい。
しかし、俺たちに告げられたのは、最終宣告に近いものだった。
「北海道へ引っ越せ。」
そう告げるだけ。
「愛雅(あいか)は?」
「貴様には関係ない…
お前なんかには預けて置けるかっ!」
“ドッ…ッ!”
思い切り殴られた…
「アンタなんか産まなきゃよかった…」
“ガッ!”
母親には顔面を全力で踏み付けられる。
倒れたままの俺は只、ボーッといつも妹…否、愛雅が立っていた台所を見ていた。
それから…愛雅には、会っていない。
連絡も無いし、何処に居るかも知らない。
只、両親があれから、二年後、飛行機事故で死んだのは知った。
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