回想

4/4
前へ
/6ページ
次へ
初めて関係を結んで、一年後、遂に勘付かれ始めた。 町を歩けば、ひそひそと陰口を叩かれる。 感じたことのない緊張感が、二人を包んでいった。 そうなれば、学校、友達、次いで両親に情報が回るのは、至極当然だ。 「愛斗(まなと)来なさい。」 機械的に言われる。 まるで殺人犯になったかのように恨みの目で見られる俺。 咎められるなら、まだいい。 しかし、俺たちに告げられたのは、最終宣告に近いものだった。 「北海道へ引っ越せ。」 そう告げるだけ。 「愛雅(あいか)は?」 「貴様には関係ない… お前なんかには預けて置けるかっ!」 “ドッ…ッ!” 思い切り殴られた… 「アンタなんか産まなきゃよかった…」 “ガッ!” 母親には顔面を全力で踏み付けられる。 倒れたままの俺は只、ボーッといつも妹…否、愛雅が立っていた台所を見ていた。 それから…愛雅には、会っていない。 連絡も無いし、何処に居るかも知らない。 只、両親があれから、二年後、飛行機事故で死んだのは知った。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加