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熊本県の東の果て、柚田市。
人口十五万人の小さな町である。
山に囲まれており、周りの町より少し早く春を迎える。
まだ三月の初めだというのに、桜がちらほら咲き始め、たんぽぽの綿毛がふわふわと風に乗って運ばれていく。
山の木々のざわめきが耳に心地よい。
「いい町。」
りおなは素直にそう思った。
空気も、水もきれいだ。
都会に住んでいたりおなにとっては、すべてが新鮮に感じられた。
空に向かって大きく伸びをする。
「う~ん、気持ちいい!」
ずっとこうしていたい。そんなことを考えていたときだった。
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