戦国武士

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「いやっ。」 「いやっ。」 島川城に兵の声が響き渡っている。 島川「うむ。 みな、鍛練に励んでいるようじゃのぉ。」 島川城の殿、島川義之が言った。 勇次郎「はい、織田信長が力をつけて来てます故に… 我々は、力をつけなければなりませぬ…。」 伊藤勇次郎が島川の言葉に返事をした。 島川「ほっほっほ― 信長もこんな小さな城は狙わぬよ。」 島川は笑って言った。 勇次郎「殿… 解りませぬぞ… 今信長は、力をつけています… 現在、今川義元氏と争っていますが…」 島川「大丈夫じゃよ。 今川は、兵力2万以上の強豪じゃ… 信長に打てはせぬ。」 勇次郎「しかし… 私は…信長の何やらわからぬ力に恐怖を感じるのでございます…」 今川「うむ。 信長は恐ろしい… …が…気にする事はなかろう。」 勇次郎「さようでございますか……。」 そう言うと島川は部屋へと戻って行った。 『殿は、ああ言うが… 織田信長の力は未知数… だか、兵の数は5000はいる… こっちは…たった300の兵力…果たして…大丈夫であろうか… 今川氏が勝利してくれたら良いのだが…』 勇次郎が考え込んでいるうちに日が沈み辺りは暗くなり初めた。 勇次郎「ん? もうこんな時刻でござるか… よしっ…皆、そこまで!! 今日もゆっくり休み、また日が登ったら集合だ!!」 一同「はっ。ありがとうございました。」 兵達は、武器の手入れをすまし自分の家へと帰っていった。 勇次郎「ふぅ…今日も良き汗をかいたでござる。」 勇次郎がその場に座り込み汗をふいた。 すると誰かが近づいて来ておにぎりを差し出した。 「…はい…どうぞ。」 勇次郎「おぉ。 かたじけないでござ… 姫様!!!!!!」 勇次郎が顔を見上げると、それはこの城の姫、雪乃であった。 雪乃「はっはっは―。」 勇次郎「姫様、なりませぬぞ!! こんな所に来てわ!」 雪乃「怒るな、怒るな、勇次郎…そなた…私の握り飯は好きでござろう?」 勇次郎「…はい。 実に塩加減が良く、米と米との凝縮加減も絶妙で…… とっ…そうではなくて。」 雪乃「良いでわないか。 我は、そちに会いたかったのじゃ。 悪いか?」 勇次郎「いえ…。」 雪乃「さて、用事も済ましたことじゃ…我らわもご飯を食べる時間…また来るでのぉ。」 勇次郎「…。」 雪乃は、勇次郎の事が好きだった…
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