2人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし勇次郎は、その気持ちに気づかなかった…というより、身分の違いのせいで気づく事が出来ぬのだった。
勇次郎「しかし姫様の握り飯は旨いのぉ。」
勇次郎は雪乃が去ったあとおにぎりにかぶりついた。
そして、おにぎりを食べ終わると勇次郎は木刀を持ち城の裏山へと行った。
勇次郎「ふう。」
勇次郎は山に入ると太い木の枝を探し、その上にロウソクを置いた。
勇次郎「っせい!
っせい!!っせい!!」
勇次郎はたまに、こうして山に来ては修行をしていたのだった。
勇次郎「信長よりも強く。
私の刀に掛かっておる。
誰が来ても負けられぬ!!」
勇次郎は木刀で素振りをしながら呟いた。
勇次郎「はぁ。はぁ。」
勇次郎が少し休もうと思い腰を下ろした時向こうの方からガサガサと音が聞こえた。
勇次郎「うむ?
また…奴らがいるでござるか?」
勇次郎はそう呟くと、木刀を持ち立ち上がり音の方へと近づいた。
「グルル!」
音の正体は狼であった。
勇次郎「狼でござったか。」
勇次郎は狼をみて、笑った。
「グルル!」
勇次郎「ほれ、怖がる事はない。
こっちへ来るでござる。」
勇次郎は、木刀を置きその場に座り込んだ。
すると、狼はむき出していた牙を戻して
近づいて来た。
勇次郎「おお!
わかってくれた…!!」
勇次郎が狼をなでて、ロウソクを照らすと傷だらけだった。
勇次郎「お主!
どうしたのでござるか!?」
狼「くぅーん。」
いきなり狼が震えだし、それと同時に大きな足音が聞こえた。
勇次郎「む。
奴でござるな…」
狼「くぅーん。」
勇次郎が木刀を持ち構えると、熊が現れた。
熊「ぐがー。」
勇次郎「お主が狼をいじめるのだな?」
勇次郎が言うと熊が襲って来た。
勇次郎「む、成敗!」
勇次郎は熊が襲って来たのを利用して懐に入り木刀で腹を打った。
熊「くぉーん。」
熊は急に怯えだし逃げて行った。
狼「くぅーん。」
勇次郎「狼、もう襲われはせぬ。」
狼「くぅーん」
勇次郎「うむ。
拙者はもう帰るでの。」
そう言うと勇次郎は、帰っていった。
最初のコメントを投稿しよう!