恐ろしき訪問者

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―???―   私は酷く混乱していた。 突然気を失い、見知らぬ部屋に監禁され、挙げ句の果てに…卑弥呼がこの事件に深く関わっている…。   武流『卑弥呼…。』   間違いなく私に宛てられたメッセージだった。 文章の書いてある面の裏に… “武流”へ (たける) と申し訳なさそうに書いてある。   武流『生き延びて…?』   深い意味は推測出来ないが、私の命が誰かに狙われているらしい。   …まだまだ手がかりがあるかも知れない。 そう思い、クローゼット内をくまなく調べてみる。   武流『…!?』   右隅の方に、得物(武器)が隠されていた。   武流『これは…9mm拳銃!』   私が2年前自衛隊にいた頃に取り扱ったことのあるハンドガン(拳銃)だ。   卑弥呼が用意していた物だろう。 使用した形跡は見当たらず、鈍い光沢を放っている。   武流『正当防衛に努めれば、使っても問題無いはずだ。』   弾倉も用意されていた。 全部で2つ。 カラム使用なので弾薬は全部で30発。     銃を手に取り、操作方法を思い出していた。   その時だった…!   …ガタン!(本棚)   突然本棚が音をたてた。 ハッとして本棚を注視する。   …ドカッ…ドカッ…(本棚)   荒々しく本棚が前後に動揺している。 どうやら、本棚の後方には壁が無いらしい。 卑弥呼が伝えている“命を狙う者”なのか? 私は本棚に向かって銃を構えた。   …ドカッ…バラバラッ…(本棚)   動揺で書物が音を立てて散らばった。   …ドンッ!!…(本棚)   本棚が物凄い音と共に、木造の床へと倒れた。 思った通り…本棚の後方に壁は存在しなかった。 壁の向こう側に何かが立っている。 人ではない。   武流『…な…何なんだコイツは!!』   そこに立っていた“者”   それは…   …手に鉈(ナタ)を持ち、血みどろになった恐ろしいマネキンの姿だった。
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