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「待ってよ。足元ふらついてる。」
女は優雅の後をついてきた。
「手貸そうか?」
優雅はお構いなしで自分の病室へと歩いていた。
「なんで無視!?」
さすがに病室までついてこられるのは困る。
「ついてくんな。」
女を見ず、冷たく言い放った。
「じゃあ名前教えて。」
女の言葉に優雅は眉間に皺を寄せた。
「…お前に教える必要がない。」
「じゃああんたの病室まで行って名前みる。」
優雅は呆れて立ち止まった。
そして女の胸倉を掴み、
「名前が知りたきゃ高橋に聞けッ!!あいつが俺の「飼い主」だ。」
女は呆然と立ち尽くした。
「飼い主・・・?」
「あぁ。俺の「飼い主」だ。俺はあいつの「狗」なんでね。」
優雅は口元だけ微笑み、早々とエレベーターに乗り込んだ。
名前なんてない。
俺は「狗」だから・・・。
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