第四章「君の手」

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葵は少しだが、笑った顔の優雅に見惚れて優雅の言葉に反応が遅れてしまった。   「…ッ不細工って何よッ?!超失礼なんだけどッ!!!しかもお前じゃなく葵!!!」   優雅はコロコロ表情が変わる葵を見て、   「…忙しい奴だな。」   と一言だけ残し、黙り込んだ。   葵は飽きもせず、わめいていたが優雅は相手にしなかった。   相手にされなかったのがつまらなかったのか、葵は不満な顔をして   「今日はもう帰るね。明日も明後日も毎日くるからぁ。」   と言い残し、手を振った。   「…もうくんな。」   去り際に優雅が言った。   葵はまた大声で   「優雅があたしの名前呼ぶまでずっと来てやるからなッ!!!」   満面の笑みで、優雅の病室を後にした。
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