第五章「意味」

3/5
前へ
/61ページ
次へ
「ッ!?本当に素直じゃないなぁ…。」   葵は溜め息をついてボソリと呟いた。   「…せっかく綺麗なのに…。」   優雅は葵の言葉に動きが止まった。   「………綺麗???」   葵は満面の笑みで笑いかけた。   「うんッ!すんごく綺麗って思う。男に綺麗って言葉はちょっとおかしいけどね。」   へへへ。と笑う葵。   「外見ならその言葉何回言われたかな?何人に言われたかな?」   葵は、傷ついたように笑った優雅に酷く胸を突かれた。   「…外見だけじゃない。「優雅」自体が綺麗なんだよ…。だって…優雅…目が凄く綺麗…。」   葵は何故か言葉が続かなかった。   優雅の顔が一瞬歪む。   (…駄目だ。勘違いしちゃ。)   優雅はシャツを強く握りしめた。   「…じゃない…。」    声が葵に届かない。   「…綺麗なんかじゃない!俺は汚れてるんだッ!」   感情を乱さない優雅が大声で叫んだ。   まるで、全てを絞り出すように。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

209人が本棚に入れています
本棚に追加