第五章「意味」

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「いやぁッ!!!!!」   葵は優雅を突き飛ばした。   無残に破られたシャツを握り締め葵は優雅の病室を飛び出した。   突き飛ばされた優雅は壁にぶつかりズルリと腰を落とした。   シーンと静まり返る病室。   「………ははは。」   優雅は力なく笑った。   そして吐き気がした。   すぐにトイレに駆け込み全てを吐き出した。             頬に伝う暖かいもの。           ぐちゃぐちゃになっているベッドのシーツ。           そこには無残に咲き乱れた桜の花びら。             優雅は細い腕に巻き付いた点滴を引き抜き、「汚れた空間」から                               逃げ出した。
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