第六章「鎖」

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優雅はカーテンを開けた。   真っ暗な部屋に差し込むわずかな光。   外は色とりどりの傘が街を彩っていた。   この部屋からみる外は、まるで別次元のように感じられた。   何時間経った?   何日経った?   時間が止まっているかのようだった。              だけど              確実に              「病」は、          優雅の身体を蝕んでいた。         ベッドの脇には、冷めきった「餌」が。     細い手首にはドス黒い「痣」が。     優雅の身体には、散りばめられた汚れた「所有印」が。     そして何故か優雅の頭によぎるのは、あの時見せた               「葵」の             「満面の笑み」が。         ―ガチャガチャ…。         部屋に響いたのは。         「トリカゴ」の扉の鍵が差し込まれた音。
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