第七章「涙」

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      彼の、             「叫び声」が。        葵は病室を出た。   そして看護婦さんと共にある病室の扉を開けた。   そこには、沢山の機械に囲まれ眠る少年が。   「・・・・響。」   葵はガラス越しに眠る少年に呼びかけた。               「響。」         葵は、何年も目を醒まさない「弟」の為に、毎日毎日病院に訪れていた。     たった一人の「家族」。     でも、もう二度と響の笑顔を見る事は出来ない。     だから葵はどんなに辛くても、響の分まで笑ってきた。     響がただ息をしているだけでも、葵には心強かった。     だけどあの時―。     「優雅」を初めてみた時―。     医者が下した決断は                「安楽死」           葵はその「決断」に「絶望」し、感情のままに暴れた。         その時、すれ違った「車椅子の青年」の「瞳」があまりにも酷く胸に突き刺さって―。             葵は「響」を、             葵は「優雅」を、              「守る」     ことを決意した。
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