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今日も葵は未だ帰らぬ優雅の病室にいた。
もう少しで梅雨が明けるらしい。
葵は降りしきる雨を見ながら溜め息をついた。
(雨は嫌い。)
雨の多いこの季節は、葵にとって憂鬱だった。
雨は寂しくなる。
響の「笑顔」が見れなくなったのも、この季節だった。
「優雅は雨が好きだったなぁ~。雨のどこがいいんだか。」
訳わかんない。と葵は鼻で笑った。
「優雅って本当わかんない。あたしの事無視するし、案外子供みたいに意地っ張りだし…。病人のくせに病院から逃げ出したり…。」
葵は誰も寝ていないベッドを見ながら呟いた。
「…何よ。あたしより綺麗な顔してるのに。自分の事「汚れてる」だとか。全然汚れてなんかない。…馬鹿優雅。」
雨がより一層強くなった。
「……会いたいよ。」
「優雅…。」
葵の瞳から優雅への想いが溢れ、こぼれ落ちた。
葵はまだ知らなかった。
すぐ先にある
「涙」の
「存在」を…。
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