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優雅の瞼が再び開けられたのは、あれから三日後の事だった。
季節は夏。
梅雨も晴れ、暑さが窓ガラス越しに伝わってくる。
葵はあれからずっと、手を握ってくれたらしい。
「優雅…。会いたかった。」
葵は泣きながら笑った。
綺麗だと思った。
「…不細工な…面…してんなよ。」
まだ覚醒しきれてない為か言葉が上手く伝えられなかった。
「…悪かったね。不細工な面でッ!!!」
葵は笑った。
優雅がずっと見たかった顔で。
「お前は…不細工な…面だから…笑ってろ。」
優雅はずっと握りしめられていた手に力を入れた。
あんなに「孤独」で冷たかった「空間」がとても暖かく感じた。
それは…夏だから?
しかし、優雅は複雑な気持ちだった。
こんなに「綺麗」に笑う葵が、自分のせいで「汚れ」てしまうことに。
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