第二章「汚れ」

3/5
前へ
/61ページ
次へ
優雅は空を眺めていた。   今まで空を眺めるなんてしたことなかった。   だからこんなに「空」が綺麗だと知らなかった。   少し窓を開けると、ひんやりとした風が優雅を包み込む。   まだ肌寒いがとても気持ちよかった。   ガチャッ―・・・   その時、ドアの開く音が聞こえた。   訪れたのは。   少し年をとった看護婦さんだった。   「具合はどう?」   「外に出たい。」   優雅は窓から見える病院の中庭を指さした。   「そうね。こんなに天気がいいなら散歩しようか。」   看護婦さんは、微笑みながら体温計を手渡した。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

209人が本棚に入れています
本棚に追加