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久しぶりの外はなんだか眩しくて、新鮮だった。
「久しぶりね。優雅君が外に出るの。」
看護婦さんは優雅の車椅子を押しながら微笑んだ。
優雅は、倒れてから長い距離をまだ歩けない。
だから外出を何度も拒んだ。
しかし、あの「汚れたベッド」で過ごすのに嫌気が差した。
「なぁ…。まだ俺、死なない?」
微笑む看護婦さんに問いかけた。
すると、看護婦さんが悲しい目をして優雅の髪を撫でた。
「貴方はまだ生きなきゃいけないの。」
看護婦さんの手は唯一味方だった母の手に似ていた。
「…触らないでくれ。…俺…汚れてるから。」
優雅は唇を噛みしめた。
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