一章 山あり谷あり

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「アレム様、この者たちをご存じで?」 「全員初対面ではないわ。特に彼は。」 アルオスに視線を向けアレムが続ける。 「あなたたちの大先輩にあたるのよ。なんたってアルオスは、王国の騎士団の史上最年少で副騎士団長まで登りつめた人物なんだから。ま、今は騎士団を辞めてフリーになってるけど。」 アレムの説明に兵士だけでなく、ロアスたちも驚いた。アルオスの意外な過去の事実を垣間見たからだ。 「……。…待ち伏せに続いて余計な部分まで喋りやがって、ロアス達に説明する必要がなくなっちまったじゃないか。腐れ縁ってものはこれだから困る…。」 アルオスが溜め息のあと言った。 「相変わらず厳しいこと。さ、ここに用があるならば、さっさと入りなさいよ。」 アレムが促し、四人は城の中へ入っていく。 「おいアレム、いつから通行証なんか必要になったんだ?」 「つい最近よ。」 アレムが簡単に答えた。 「あとは陛下に尋ねることね。まさか『騎士の誇紋』で城下町に入ってくるのは予想外だったけど。」 「……。仕方なかったんだよ、それしか身分証明出来るもん持ち合わせてなかったからな…。」 アルオスが反省気味に言った。 「『騎士の誇紋』?何それ?」 イリファが尋ねた。 「俺が城下町に入るときに兵士に見せたやつだ。あれは、この王国の騎士団での特別優れた者にだけ、国王直々に贈られるものだ。俺が賜った理由は、さっきアレムが説明したから分かるだろ…。」 アルオスが答えた。 「俺以外に、セキルやコイツも持ってる。セキルは団長歴が史上最も長いから、んでコイツは女性騎士初の副団長って理由でな。」 続けて言った。
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