二章 内に秘めたもの

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どのくらいの時を歩いたのかわからない。あちこち歩き回って30分は経過したのではないかと思われる。ロアスにとって、この城は広すぎた…。探すと言って、はりきって飛び出したのが運の尽きだったのかもしれない、と後悔しはじめた時だった。 「ん…?この部屋…。」 扉が半開きで、部屋の中はシーンとしている…。例えるなら、城の中に夜中の墓地があるみたいな…。 「(微かにアルオスの気配がするんだけど…、うーん…、不気味だけど入ってみようか…。)」 扉の隙間から入って行くことにしたロアス。そこで目にしたのは…。 「ロアス…、か…?」 探してた本人がいた。アルオスはロアスに背を向け立っている…。アルオスの目の前には十字架が…。 「ぼ、墓標…?城の中に…!?」 例えと現実が一致する事態が起きた。 「…ここに来ると、自分の非力さを思い知るな…。『村を去って俺に何が出来るのか』、ってな…。」 アルオスが元気なく言った。 「アルオス…?」 明らかにいつもと様子が違う。憂(ウレ)いと言うか葛藤と言うべきなのか…。 「ロアス、俺は前からお前に言っておきたい事があったんだ…。」 アルオスがいきなり言った。 「俺は、お前やイリファ、リィナが思っているほど綺麗な人間じゃない…。」
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