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「どういうこと?いきなりどうしたの?」
ロアスが尋ねると、想像しなかった答えが返ってきた。
「なぜなら俺は…復讐者だからだ…。」
「復讐者…!?」
ただ驚くことしかできないロアス。
「お前が俺をどう思うかは勝手だ。俺は人間だ…。お前らとは…違う…。」
「やれやれ…。主人格の次はお前が自分自身を責める気なのか?」
言葉づかいが変わったのを聞いて、アルオスが振り向くと、ロアスの人格が変わっていた。
「お前らしからぬ態度だな、アルオス…。弱気なお前など初めて見た。お前の過去に何があったかは詳しくは知らん。俺は知るつもりもない。ただ、俺からもこれだけは言っておきたい。お前が今持つ『光の剣』。それは復讐ばかりにとらわれるような馬鹿は使いこなせない物だ。」
ロアスが言った。だが、アルオスからは反抗的な答えが返ってきた。
「…『過去』のないお前らに、俺の何が分かるって言うんだ!?自分の非力が失わせた大切な命と、のしかかる罪の苦しみがお前に分かるのかよ!?」
ケンカが勃発しかけている…。
「…わかった。これ以上は何も言わない。王様が部屋貸して下さったから、ちゃんと来てよね。23番室だから。」
それだけ言って、ロアスは部屋を出た。また人格が普段のロアスに戻っている。
「(『過去』のない僕たちに何が分かる…、か…。)」
ロアスの頭に深く残った言葉だった。
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