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ロアスが部屋から出ていき、薄暗い空間にひとり残ったアルオス。
「…情けねぇ、何熱くなってんだよ俺は。」
顔を横に何度も振って落ち着こうとする。そのとき、
コツコツコツ…。
アルオスの背後から足音がした。アルオスにはそれが誰のかすぐにわかった。
「…何の用だ?」
アルオスは振り向かずに言った。
「相変わらずだな、と思ってな…。ここから出ていった3年前も、最後に会ったはこの場だった。」
「どうでもいい事ばかりいちいち憶えてるよな、セキルは…。」
アルオスが振り向いた。
「…まだ己を許せないのか。」
「…簡単に自分の罪を許すなんて度胸は俺に無い。」
「そうか…。お前も優しすぎるからな。」
「……。」
アルオスは黙りこんだ。そして彼の人生そのものを変えた6年前を回想しはじめた。
…6年前、俺はまだ15歳だった。その日まで、ごく普通の平凡な村民として暮らすと思ってた。全ては変わった…あの運命の日から…。
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