一章 山あり谷あり

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「も…もう少し寝させてくれよ、イリファ…。」 「ダメよ。いつまでも寝たままになっちゃうもの。ほらしっかりしてよ!」 「うわ!耳元で叫ばんでくれ…。」 ロアスは椅子から立ち上がり、背伸びした。 「おい居眠り大将、シラデル大陸が見えるところまできたぞ。」 「アルオス、俺に変なあだ名つけるな…。ところで、あとどのくらいで陸に着くんだ?」 ロアスが尋ねた。 「30分位だな。…もう寝るなよ?」 三人の視線が一人に集中した。 「…みんな揃ってこっち見なくともいいじゃないか…。脅しじゃあるまいし…。」 30分後、アルオスの予想通り、シラデル大陸へと到着した。船を降りひとまず集まる四人。 「シラデル大陸に着いたな。最初に言っておく。まずはル・アスラール王国に行くぞ。この大陸での情報はあそこに集まりやすいからな。」 聞き覚えのある国名である。 「…道のりは、ここからどのくらいかかるんです?」 リィナが尋ねた。 「歩き続けて3日程。岩山登りもしなきゃならんから覚悟しとけよ。」 これにはイリファはあまりいい顔をしなかったが、ロアスがいさめたので事無きを得た。
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