すずおと

1/1
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ

すずおと

鈴音が あの子の訪れを知らせる いつもと同じ 真っ赤な着物 袖振る後姿が どうしようもなくいとおしい 私がこの時に この一所を動いたならば あの子の顔を見ることも容易い けれど私は扉の隙の向こう 過ぎ行くあの子を見送るだけ これは夢見がちな私の期待か あの子がいつか気付いて 振りかえるのを いつまでも待とう 心地よく耳に残る 涼やかな音色とともに
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!