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『遥か昔、世界樹と呼ばれる程の大樹があった
根は大地を覆いつくし、葉は空を隠す程の物だった
世界樹は全ての命の源で、全ての命は世界樹に還る』
「―って話、明らかに嘘だろ。実際にそんな木があったら、生物が絶えるだろうし」
「私も言い伝えの内容が事実だとは思いませんが、そう呼ばれるぐらい大きな木だったのでしょう」
広い室内の中、2人の青年が話していた。
赤い髪の男はライナ。金髪の男がユアと言う。
「で、その言い伝えが本当に関係してると思うか?」
ライナは窓辺に腰かけて空を見上げた。風が心地よい。
本来なら平穏な午後をむかえるはずだったのだ。
「ライナ、危ないですよ。まぁ、私も突拍子ない仮説だと思います」
椅子の背に体重をかけるようにユアが座りながら入り口のドアを見つめている。
今、世界中で異常が起こっているらしい。何故、断定出来ないかと言えば見たことのない魔物や植物を見つけたと言う噂があちこちから聞こえてくる程度だからだ。
そして、その異常の原因が世界樹だと言うらしい。
本当に根拠がない。
「呆れるぜ。そんな噂で俺達がここに呼び出されたのか」
呆れてモノも言えないとばかりに溜め息を吐き出しながらライナは身につけているブレスレットをいじっている。
その時、ドアが開いた。
「ライナ、ユア。仕事だ」
これが終りに向けての始まり。
2人の運命の歯車が動きだした。
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