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ドアの先には小包を持った配達員がいることを想像していた僕は、まさか友人の佐竹とは思わなかった。
がっかりしている僕を見て佐竹は言う。
「なんだまたなにか始めたのか?」
察しがいい、その通り。僕は事の経緯を話した。
「なるほど、君はまたそんな馬鹿なことを……」
「そうは言うが佐竹、僕は本気なんだ今度こそ!」
右手を強く握り、腕を上げる僕を見て、佐竹は哀れむ目で僕を見た。
「君はほんとに……前回だってそうやって拳を上げて誓っていたじゃないか」
佐竹は部屋を見回して僕に問う。
「前回あれだけ可愛がっていたこぶたの貯金箱はどこへやった?」
僕は目を逸らす。
「割ったんだろ……違うか?」
違う、と反論も出来ない、つまり佐竹の言う通り割ったのだ。
「すまないけど言わせてもらうよ、君には向いてないよ懸賞生活なんて、ましてやなにが子供の絵だ、バカバカしいにも程があるぞ!」
なんてことを言う男だ、僕は頭に血が上り彼を睨んで言う。
「何が悪い!僕の勝手だ、君に何言われようとやってみせる!」
それを聞いた佐竹は生意気にも小さな溜め息を付いている。
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