第二話・―閉ざされた記憶―

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「じゃあ、パパとママ探そうか?」 「……何故、そうなる」  ため息を吐きながら隆が反論すると、楓は泣きそうな顔で言う。 「だって、可哀相だよ。この子、きっとパパとママとはぐれちゃって淋しいんだよ」  しかし隆は、関係無い問題には首を突っ込みたくないのか、普段より一際冷たく言い放つ。 「……何処かに預ければ良いだろうが」  それは隆が楓と出会ってから、初めて見せた冷たい表情で。人の痛みを知っている筈の隆にはあり得ない対応に、楓は思わず声を荒げて言った。
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