第二話・―閉ざされた記憶―

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「従わなければ、殺す」  そんな脅しに、素直に従う隆では無い。伊達に今まで、業界のトップに立ち続けている訳では無いのだ。  隆は小さく含み笑いをすると、相手に言う。 「やってみろ。ただし、やれるものならな」  馬鹿にされたと認識したのだろう、相手は小さく舌打ちするとそのまま獲物を突き立てようとするが、その腕が動く事は無かった。  いつのまにか、獲物ごと隆がその腕を握り込んでいたのだ。  滴る鮮血を見て、相手は少なからず動揺したのだろう、腕から一瞬力が抜ける。  その隙を隆が見逃す筈も無く、握り込んでいた腕を勢い良く突き放すと。瞬間的に振り返り、再び腕を掴んで獲物をその首へとあてがった。
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