第二話・―閉ざされた記憶―

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 それだけで、一気に形成は逆転した。  あまりの素早い動作と、周囲の喧騒のお陰で誰も気付いてはいない。  だが対峙する二人の間には、緊張が走る。 「この子供に、何の価値がある?」  有無を言わせぬ口調で問うが、相手は小さく笑ったかと思うと、隆の両手を勢い良く振り払いながら言った。 「自分で確かめるんだな。……もっとも、それが知れる頃には、貴様の命も風前の灯だろうが」  言い切らない内に素早い動作できびすを返すと、隆が止める間も無く走り去ってしまった。
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