第二話・―閉ざされた記憶―

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 よく晴れたある日、隆はその光景を目の当たりにして固まっていた。  目の前には歓声を上げる子供達、舞う紙吹雪、ピエロの扮装をした男。そして、色々な装飾を施した乗り物が、園内を所狭しと動いているのだ。  隆にとって、それら全ての物は、ほとんど初めて見るものに近い。  特殊な力を持って生まれ落ち、母親からも化け物扱いされて育った彼は、二十歳になるまで外の世界を見ずに生きてきた。  力のせいで誰からも受け入れられず、日の光が当たる場所で生きる事を諦めた彼の職業は殺し屋。  ――つまり暗殺者である。
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