第二話・―閉ざされた記憶―

3/16
前へ
/160ページ
次へ
 皮肉にも、疎ましく思っていた力のお陰で裏世界のNO.1に躍り出た隆は、本来ならばこんな明るい場所で、はしゃいでなどいない筈なのだ。  この若さで業界の頂点に立つ彼の事を、疎ましく思う同業者も少なくない。  それでは何故こんなところに立っているかというと。  全ては隆の隣に立って、腕を絡めている少女によって引き起こされた事態なのである。  少女の名は栗原楓。ある事件がきっかけで、隆と共に生きる事を決意した。ロングヘアーに、つぶらな瞳が印象的な、可憐な雰囲気の少女だ。  自分が置かれている状況がいまだ信じられず、隆は隣に立っている楓の方を向きながら呟く。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

410人が本棚に入れています
本棚に追加