第二話・―閉ざされた記憶―

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「遊園地、何をするところだ?」 「遊ぶところよ」  答えはすぐさま返ってきた。  楓は絡めていた腕を放すと、今度は引っ張るようにしてその手を握り。半ば無理矢理、ある乗り物の前まで走っていく。 「おい、楓……」  一緒になって走らされている隆が、それを止めようと声をかけた時、タイミング良く楓が止まる。  そうしてロングヘアーを揺らしながら振り向くと、まるでねだるように言った。 「隆、私あれに乗りたい」  その言葉につられて見ると、その乗り物は変わった形をしていた。  平たく円形状に設置された装置の上に、人間が乗れる大きさの。幾つものコーヒーカップが、ご丁寧にソーサー付きで乗っている。
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