第三章・―組織―

2/15
409人が本棚に入れています
本棚に追加
/160ページ
 部屋の中に、重苦しい空気が流れている。  キラー・ビーが出て行ってから、誰も何も言葉を発しない。お互いの顔を見合わせて、気まずいように黙っている。  その中で、隆だけは子供の方を見続けていた。  目の前にいる子供が組織の人間だと言うならば、何故記憶を無くしているのか。  だが本能は覚えているらしく、先刻のキラー・ビーとの攻防は、素人らしからぬ動きを見せていた。  子供とは言え、そんな動きを見せる相手を楓の側には置いておけないと。  深刻にそう考えていた時、申し訳無さそうな声が響く。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!