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ミキの携帯がなった。
単なる広告メールのようだ。
普段ならすぐに消去してしまうが、この時は違った。
『デリバリーヘルプ
あなたの悩みに答えます
カウンセラー・ナナカマド キリコ
090-XXXX-XXXX
kiriko-090-XXXX@ezweb.ne.jp』
ミキの指は携帯のボタンを押していた。
次の日
ミキは近くの喫茶店へ向かった。
待ち合わせの旨を伝えると、奥の席へと案内された。
そこには一人の女性がいた。
「はじめまして、ナナカマドキリコです」
女性は立ち上がって、ミキを迎えた。
ミキは勧められるまま、向かいの席に座り、飲み物を頼んだ。
「はじめまして、今日は相談にのってもらいたいことがあって…」
「ええ、どうぞお話ください」
(相談があるから連絡よこしたわけだしね…)
「実は私、二人の男性から告白されていて…」
「もてるんですね」
「そんなことないんですけど~」
(あら、まんざらでもないって感じじゃない。ふ~ん、なるほどね)
「何回か両方とデートしたんですけど、ちゃんと付き合ってほしいって言われて…どちらを選んだらいいかわからなくて」
(それって、どちらも決め手がないってこと?)
「どんな男性なんですか?」
「一人は夜のお勤めなんですけど、すごい強引な人で、引っ張っていってくれるのは嬉しいけど、強引すぎるかな、って感じ」
「もう一人は?」
「大学生で、すごい優しい人なんですよ。なんでも私の言うこと聞いてくれるし。でも、なんでも、はいはいって、なんにも自分の意見がないのかな~って思っちゃうんですよね」
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