デリヘル

3/3
前へ
/37ページ
次へ
  「どちらが好きなの?」   「どちらも好きなんです。片方と会ってると、もう片方のいいところが見えてくるっていうか」   (強引VS優しさ、女心を揺らすわね)   「どちらか一人じゃ満足できないなら、二つに一つね。二人とも別れて、新しい人をさがすか、二股をかけるかしかないわね」   「え~そんな二人とも別れるなんて…それに二股なんて、いいんですか?」   「いいか、悪いかではなくて、やれるか、やれないかだと思うわ。そしてそれは、あなた次第」   (あなただって本当は、そう考えていたんでしょう?)   「幸い、男性の生活時間帯は違っているようだし、あなたさえうまくコントロールすれば、二股だって可能じゃないかしら? もちろん、あなたが二人の男性を惹き付けておける、魅力的な女性でありつづけることが必要とされるけど」   「そんな、そんなこと…失礼します」   ミキは乱暴に席を立った。 残されたナナカマドキリコは、優雅にコーヒーを口にした。 彼女は知っている。相談をしにくる人間は、答えをもう自分の中に用意していることを。 彼女の仕事は、相談人の背中を押すことなのだ。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加