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「どちらが好きなの?」
「どちらも好きなんです。片方と会ってると、もう片方のいいところが見えてくるっていうか」
(強引VS優しさ、女心を揺らすわね)
「どちらか一人じゃ満足できないなら、二つに一つね。二人とも別れて、新しい人をさがすか、二股をかけるかしかないわね」
「え~そんな二人とも別れるなんて…それに二股なんて、いいんですか?」
「いいか、悪いかではなくて、やれるか、やれないかだと思うわ。そしてそれは、あなた次第」
(あなただって本当は、そう考えていたんでしょう?)
「幸い、男性の生活時間帯は違っているようだし、あなたさえうまくコントロールすれば、二股だって可能じゃないかしら?
もちろん、あなたが二人の男性を惹き付けておける、魅力的な女性でありつづけることが必要とされるけど」
「そんな、そんなこと…失礼します」
ミキは乱暴に席を立った。
残されたナナカマドキリコは、優雅にコーヒーを口にした。
彼女は知っている。相談をしにくる人間は、答えをもう自分の中に用意していることを。
彼女の仕事は、相談人の背中を押すことなのだ。
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