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「実はこの丸いレタスの中にはレタス姫とレタス王子がいるんだ」
酔っ払ってフラフラの彼は、そう言って私に近寄ってきた。酒臭い。
彼が言うにはレタスの中ではレタス姫とレタス王子が愛を育んでいるとか。
馬鹿らしい、でも面白くはある、私は続きを促した。
――レタス姫とレタス王子、二人は国に追われている。
だからいろんなレタスに子孫を残しては次へまた次へと……。
でもそんなことしたって人間が食べちゃうんだからどうしようもない。彼は言う。
だけど二人は必死に頑張る。
「うん……それで結局何が言いたいわけ?」
「レタスは食べないってこと」
――彼は言った。
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