兄貴分の自殺

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  K組の交渉担当が変わっていた。新たな担当はYだ。   YはK組が三代目誠友会と抗争した時、誠友会傘下事務所に車を突入させた人物だ。イケイケ振りはK組長を彷彿させる。   Yは「商人さん、藤原さんが来ません。もう1時間も待ってます」と言ってきた。   俺はYに、後で連絡すると言い、藤原を捜すべく配下を手配した。   沢村やZ市の藤原の周りにも連絡を入れた。   Z市の飲食店関係者や余所の組にまで協力をあおいだ。   藤原の家の鍵は開いていた。   テーブルに書き置きがあった。 藤原の知人宛てに、飼っていた犬を頼むと書いていた。   まさか…嫌な予感がした。   朝まで総動員で捜したが藤原はどこにもいなかった。   得た情報によると、当日の午後、知人の車を借りてどこかに出かけたらしい。   月末には入金がなかったばかりか、せっかく集めた返済金の一部をパチンコや競馬などのギャンブルに使い込んで穴を開けたらしい。   東京のオジキに確認をしたところ、藤原が言ってた入金のシノギは無い話しだった。藤原が作った架空の話しだと判明した。   …きっと死ぬ気だな…俺は直感した。同時に体中の力が抜けた。   朝が明けて、その日の午前中。 北海道警察 苫小牧警察署から車の持ち主に電話が入った。   苫小牧署管轄の林道で、車内で練炭自殺体が発見された。藤原だった。   藤原の親戚と共に身元確認に行った。 間違いなかった…   俺宛てに遺書が残っていた。   迷惑をかけてすまない…から始まる遺書は最後に サヨナラという言葉で結ばれていた。その字には涙の跡がついていた。  
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