消える『13番目のバス』

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とても、とは言い難いが、なかなか大きな街だった。 交通機関はバス、電車、地下鉄… 一通り揃う。 ビルの向こうに、小山が見えるが田舎ではない。 この街は「鷲見街(すみまち)」 都市伝説が多いので、よくメディアにでる。 なかなか有名なオカルトスポットである。 だが、ここに移り住みたいという物好きはあまりいない。 なぜなら、ここでは実際に人が何人も消え、死人さえでているのだから。 だが、この街から出ていく者もあまりいない。 なぜなのか? 各メディアも、この街を知っている者も疑問に思う。 そして、いつからかその事も都市伝説として語られ始めた。 「また出たんだって」 「またって…あの『バス』が?」 「そう。同じ塾の子が見たって!」 朝から廊下の隅っこで女子がヒソヒソ二・三人集まり、話している。 まだ、中学生になりたての幼い顔を残した少女達である。 「何の話?」 その話に割って入ったのは、珍しく街の外からやって来た転入生。 名前は壱黒いつみ(イチクロイツミ)。 幼い顔に、短い髪、赤のチェックのベストとスカートが良く似合っている。 中学1年になったばかりだ
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