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そして
れいの姿をした影は…ニタリと口角を上げて不気味に笑った。
瞬間
バシンッ
「!」
と音をたててバスの扉が開いたかと思うと、凄い風と共に霧がバス内に流れ込んできた。
「ひゃっ!」
いつみは手すりに掴まって風に流されないように、屈んだ。
ところが影はピクリとも動かない。
顔は不気味に笑ったまま。
影の顔を霧が覆おうとした時、ゆっくり口が動く。
「……ニガサナイ…」
赤ん坊の様な甲高い声で、影は言ったのだ。
霧は影を隠すと、いつみの視界は白に包まれた。
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